Winter Love
◆季節折り柄
葉が赤く色がつく頃になった。
「おーい、誰かペンキ持ってないー?」
「ないー!
もう、全部使っちゃったみたい!」
「まじかー。。
みさ!買い出し行ってきてくれる?」
文化祭委員のちかこちゃんが私に声をかける。
メモをもって私は出かける。
すたすたと。
ひたひたと。
「柏木さん!俺も行くよ。」
「森崎君、ありがと。」
校門を出て、すぐのところで、
同じクラスの森崎君が手伝いに来てくれた。
優しくて、身長170センチぐらいで、
少し茶色がかった短い髪が印象的な森崎君。
クラスの中でも、人気な彼だ。
「もう紅葉が真っ赤だー!
真っ赤すぎて、ちょっと気味悪いし!」
ちょっぴり頬が赤い森崎君が、遠くの山を眺めながら、
笑って言う。
そんな森崎君の横顔は、あの人に似ていた。
「みさ、今度紅葉見に行こう!」
君が言う。
笑いながら君が言う。
森崎君じゃない。
――――心の中にいるあの人が。
ああ、私、あの人のこと好きだったんだ。
本当に愛してたんだ。
今更、気づいてしまった。
「柏木さん、どうしたの!」
うずくまる私。
止まらないしずく。
君なら、どうしてくれたかな。
頭をなででくれた?
抱きしめてくれた?
起き上がらせてくれた?
もうわたしは今の君を知らない。
森崎君は、そんな私の背中をしばらくさすってくれた。