恋のはじまりは曖昧で

「なんか以外にこの二人、お似合いかも。弥生は世話焼きだから浅村くんみたいな明るくワンコ系な弟タイプが合いそうな気がする」

確かにしっかり者の弥生さんが浅村くんを優しく包み込んでくれそうな感じがする。
浅村くんはよく人に頼ることが多かったし、そう考えたら本当にお似合いに見えてきた。

「で、紗彩は合コンどうする？」

「すみません。せっかくのお話ですけど遠慮させてもらいます」

「了解」

断るのも勇気がいったけど、あっさり受け入れてくれてホッとした。
ご飯を食べ終えた三浦さんは、さて、と言ってトレイを持ち立ち上がった。

「弥生、さっきの合コンの話なんだけどなかったことにしてもらっていい？」

「それは別に構いませんけど」

「突然ごめん。メンバー的に弥生向きじゃなかったかもって思ったんだ。それにね、私の勘なんだけど、すぐそばに弥生を好きだって言ってくれるいい男が現れそうな気がするんだよね」

「何ですか、それは。そんなことあり得ないですよ」

そう言って弥生さんは苦笑いした。

「それがあるかもしれないよ。人生、何があるか分からないし。じゃあ、私は先に戻るわ。浅村くん、頑張ってね。お姉さんは応援してるから」

三浦さんは話をまとめ、浅村くんを見て意味深に笑った。