恋のはじまりは曖昧で

考えた末、どうせだったら一緒にしてしまえ!ということで。

「だったらハンバーグカレーにしようか」

「わーい、ハンバーグカレーだ」

虎太郎は両手をあげて喜びを表現した。

「この後、スーパーで買い物して帰ろうか」

「うん」

虎太郎と手を繋ぎ、近所のスーパーに向かっていると虎太郎はピタリと立ち止まり、歩こうとしなくなった。

「さあやちゃん、ボクもうあるけない」

「えっ?」

「おんぶしてー」

両手を前にブラブラさせた。
嘘でしょ。
仕方ないので虎太郎をおんぶして歩く事にした。

お、重い。
六歳児って結構重いんだけど!

やっとのことでスーパーに着いた。
無駄な体力を使ってしまい、ヘトヘトだ。

「コタ、スーパーでは歩いてくれる?」

「うん、いいよ。そのかわり、おかしかってね」

満面の笑みを浮かべる虎太郎。
ちょっと待て。
交換条件を出してくるって、何て現金な子なんだ!!!

「いいけど一個だけだからね」

「はーい」

虎太郎は返事だけはいいんだから。

ジャガイモに人参。
玉ねぎはまだ家にあったからいらないか。

冷蔵庫の中を思い出しながら必要なものを手に取る。
お肉に卵にミニトマト、レタスにりんごなど食材をかごに入れていった。

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