恋のはじまりは曖昧で
体調不良で
週が変わった月曜日、昼休みになった早々に弥生さんは三浦さんに捕まっていた。
大人数で社員食堂になだれ込み、それぞれ定食を手に席に着いた。
「ねぇ、金曜日はどうだったの?」
「え、どうだったって何がですか?」
「もう、何言ってんのよ。あんた浅村くんに送ってもらったんでしょ」
「あっ……」
早速の追及に、三浦さんの言葉に弥生さんの顔が真っ赤に染まっていく。
私も考えていることが顔に出るとか言われているけど、弥生さんも分かりやすいかも。
そんな顔していたら“何かありました”と言っているようなものだ。
当然、三浦さんと井口さんは追及を緩めてはくれないだろう。
「何か進展はなかったの?」
「ホラホラ、正直に白状しなさい。告白ぐらいされたんでしょ?」
「なっ、どうしてそれを……」
「やっぱりね」
「浅村くんもやるじゃない」
「そうかー。ついに弥生も彼氏が出来たのか」
弥生さんは恥ずかしそうにしながら、パスタをグルグルとフォークに巻きつける。
浅村くんと弥生さんは付き合いだしたんだ。
あ、だから浅村くんは朝から鼻唄なんか歌って浮かれていたのか。
「あの、それで私たちの付き合いは……」
「分かってるって。誰にも言わないから安心して。ね?」
三浦さんは私と井口さんに視線を向けてきたので、暗黙の了解とでもいうかのように頷いた。