恋のはじまりは曖昧で
「これで弥生が一抜けか。幸せそうなのはいいことだけど、羨ましいし何かムカつくわね」
「合コンもこれといって収穫ないし、婚活パーティーでも参加してみようかしら」
「それって最終手段じゃない」
「最終手段はお見合いでしょ」
三浦さんと井口さんはため息をつきながら話している。
二人とも美人だし、彼氏がいないっていう方が謎なんだけど。
私の勝手な妄想だけど、男の人から『この二人、彼氏がいないって言ってるけど、絶対嘘だぜ。いない訳ないじゃん』とか思われてそう。
だから、合コンも収穫なしで終わるんじゃないのかな、なんて。
そんなことを考えながら頼んだ月見うどんを一本ずつゆっくりと食べていたんだけど。
「紗彩、食欲ないの?」
「あ、ちょっと喉が痛くて」
うどんの減りが少ないのを三浦さんが心配そうに聞いてくる。
昨日の昼過ぎぐらいから喉に違和感があった。
本格的に痛くなったのは夜で、何度も痛みで目が覚めた。
唾をのみ込むのも痛くて、うどんなら食べれるだろうと思ったんだ。
「お腹出して寝てるから風邪でも引いたんじゃないの?」
「体調悪いなら早退した方がいいよ」
「はい、ありがとうございます」
三浦さんのお腹を出している発言には突っ込みたかったけど、そんな気力もなかったのでスルーした。