恋のはじまりは曖昧で

幼なじみ

田中主任に書類を届けた日から一週間後。

原田部長から言われ、私は田中主任のサポートをすることになった。
他にも何人かの営業の人のサポートをするけど、メインは田中主任だ。

『いろいろ雑用とか頼むことがあるけど、よろしくね』と田中主任に微笑みながら言われ、私は背筋をピンと伸ばし『頑張ります！』と意気込んだ。

ついに営業のサポートが出来ることに嬉しくなったのと同時にさらに気を引き締めなきゃと思った。
田中主任は″主任”と肩書が付くように、仕事は大変そうだった。

自分の仕事以外にも、他の営業の人のフォローにも回ったりと忙しくしている。
それは主任だけに限った話ではないけど。
うちの会社の営業部は比較的、若い人が役職が付いている。
それだけ仕事が出来るんだろう。

「田中主任、ちょっといいですか？例の現場のことで相談があるんですけど」

今も佐藤さんが図面を手に田中主任の席へやってきた。
資料に目を通していたのを中断し「どれ？」なんて言いながら話し込んでいる。

今日は朝から出掛けている営業の人は少ない。
そのせいか、電話がかかってくる回数が普段より多い気がし、私は電話対応に追われていた。
入社したての頃に比べたら、電話も率先して出れるようになっている。

佐藤さんと話を終えた田中主任から一枚の紙を渡された。
それに目を通すと金額とか所々訂正してある。