恋のはじまりは曖昧で
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その夜、海斗と晩ご飯を食べに行く約束をしていた。
仕事終わりに前々から話していたラーメン屋で合流した。
テーブル席は空いてなく、カウンターに並んで座った。
海斗と会うのは、あのパーティー以来だ。
ラーメンが運ばれてくるまでの間、お互いに近況報告し合ったけど、まだ彼氏が出来たという話はしていない。
ラーメンを食べながら話すのもどうかなと思ったんだ。
「ねぇ、あのおじさんの秘書の人ってどんな人?」
パーティーの時の所作といい、洗練されている感じがした。
単純にどんな人なのか気になって聞いてみた。
「松方さんか。あの人すっげー真面目な人なんだよ、妥協を許さない感じで。俺も何度も注意されてるよ」
「へぇ、そうなんだ。何事もキッチリしていて厳しそうだね」
「あー、確かにな。少し目付きがキツイ感じだから誤解されやすいけど、本当は気配り上手で優しいいい人なんだよ」
そんな話をしていたら、店員がラーメンを運んできた。
「お待たせしました」
ラーメンが目の前に置かれ、二人で手を合わせて「いただきます」と声を揃えた。
最初にレンゲでスープをすくい、一口飲む。
それから箸で麺を掴み、ズルズルとすすっていく。
海斗はラーメンの他に餃子と半チャーハンも注文していて、あっという間に平らげた。