恋のはじまりは曖昧で
海斗は俗にいう御曹司だけど、一体どこが御曹司なんだ?というようなことばかりしていた。
小学校の頃は、男子グループで女子のスカート捲りが流行っていた。
ホント、男子ってバカだ。
例に漏れず海斗もやっていて、私もよく捲られていた。
ウサギ柄のパンツを見られて笑われたことは今でも忘れていないんだからっ!
中学の頃は、海斗が校内でケンカして親が先生に呼ばれたりしたこともあった。
でも、これには理由があったんだ。
私が物に躓いて、ある男子とぶつかった。
その男子をAくんとする。
運悪く、Aくんが飲もうとしていたお茶がこぼれてしまったんだ。
こぼれたのは少しだけだったんだけど、服が濡れたと責められた。
Aくんは虫の居所が悪かったのか、何度も謝ったけどなかなか許してくれなくて。
それを見ていた海斗が仲裁に入ってくれたけど、最終的にAくんと取っ組み合いのケンカになってしまった。
騒ぎを聞き付けた担任がやって来て、二人は生活指導室に呼ばれた。
この時、私はホントに焦った。
元を辿ればケンカの原因は私だったりする。
私も生活指導室に行き、担任や学年主任に必死に事情を説明した。
どうにか、話を収めることが出来てホッとした。
海斗の両親にも申し訳なくて謝ったら、「男は喧嘩が付き物だし紗彩ちゃんは気にしないで」と言ってくれた。
海斗は家がお金持ちだからといって鼻にかけたり無駄遣いをするようなタイプではなかった。