恋のはじまりは曖昧で

「それで香水がどうかしたのか?」

「ううん、ちょっと聞いてみただけ」

「なんだよそれ。てかさぁ、前から思っていたんだけど、紗彩って考えていることが表情に出るからマジで分かりやすい」

「嘘!そんなに顔に出てんの?」

いきなりそんなことを言われ、思わず両頬を手で押さえた。

「あぁ、モロにな。紗彩にポーカーフェイスはまず無理だ。言っとくけど、俺に隠し事なんてするのは百万年早いんだからな」

「何よ、それ」

キッと海斗を睨みつけてみたけれど、全く効果はない。
寧ろ、鼻で笑われる始末。
その顔がすっごく腹立つんですけど!

そういえば、田中主任に表情がクルクル変わるとか言われたことがある。
全部、考えていることが顔に出ているなんて最悪だ。

「あとさ、紗彩って自分の癖に気付いてないだろ」

「癖?」

海斗の言葉に首を傾げる。
私の癖って何だろうと思っていたら海斗が更なる爆弾発言をした。

「嘘をつくとき視線を逸らして左の耳たぶとかピアスを触るんだよな」

「嘘っ?」

「マジマジ!長年、紗彩を見てきた俺が言うんだ。統計的にも間違いないよ」

自信満々に言われ、唖然としてしまう。
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