恋のはじまりは曖昧で
こういうところはお坊ちゃんなんだよな。
海斗の住んでいる高級マンションは私の住んでる普通のマンションは車で約五分。
高級と普通、これは悲しいかな、親の収入の違いでもある。
助手席に一番に乗るのが私で申し訳なかったけど、せっかくだしありがたく送ってもらうことにした。
大学進学を機に私は一人暮らしを始めた。
1Kの五階建てのマンションで家賃は五万円弱。
仕送りをしてもらいながら家賃を払っていたんだけど、社会人になってからは自分で払うことにした。
ちょっと厳しいけど何とかやり繰りしながら生活している。
私の家族構成は、父、母、姉の四人家族。
姉とは六歳離れていて、すでに結婚して子供がいる。
私の両親は共働きだったので、小さい頃から自分のことは自分でやっていた。
姉は自由奔放で、いろいろ振り回された記憶がある。
そんな姉を反面教師にして、妹の私は自然と真面目になっていた。
姉妹あるあるだけど、私は姉のお下がりばかりで、いつも新品の物を買ってもらえる姉が羨ましかった。
余談だけど、私の初恋の人と姉は結婚したんだ。
高校の時の先生だったんだけど、若くて男女問わず人気があり、私も例に漏れず憧れていたんだけど、卒業と同時にその恋も終わった。
何もアクションを起こさなかったので当然と言えば当然だけど。