恋のはじまりは曖昧で

まだ子供が小さいから家を空けられないなどの理由で、片岡さんや木原さんなど家庭を持っている人は男女問わず不参加が認められる。
あとは仕事でどうしても無理な場合も同様だ。
基本、正当な理由がない限りは不参加は認められない。

「楽しみだな、って高瀬、聞いてる?」

「もしかして、私に話しかけてた?」

「当たり前だろ。お前、すぐ無視するからな」

浅村くんは口を尖らせる。
やっぱり独り言じゃなかったのか。
すぐ無視するというのは思い当たるふしがあるのでなんとも言えない。
浅村くんとの距離感は同期ならではだと思うし、変に気を遣わなくてもいいので楽だ。

「えー、そんなことないでしょ」

「は?そんなことあるよ。どうせ、無視するのはわざとだろうけど。というか、無自覚でやってるんだったら相当ヤバイぞ」

嫌味ったらしく言われ、思わず肩を竦めた。
わざとっていうの、バレてたか。

「まぁ、その話は置いといて。浅村くんて、そういうイベント事って好きそうだよね」

「そりゃあ好きだろ。社員旅行とかワクワクしない方がおかしいって」

「もしかして、遠足とかイベントの前は興奮して眠れないとか?」

子供の頃とか私もそうだった記憶がある。
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