恋のはじまりは曖昧で
「うん。主任から誘うことはなかったけど、毎日のように女子社員に誘われてたんじゃない?私はあまり主任のようなタイプは好きじゃなかったから誘ったりはしてないけどね。あ、言っとくけど付き合いっていうのは食事に誘われて行ってたって話だからね。多分、主任は会社の子とは寝てないと思うよ」
「寝……っ」
弥生さんの言葉に顔が赤くなる。
それって、そういうことだよね。
「誰かれ構わずエッチしてたら問題でしょ。それに御三家はみんなの物みたいな感じだったから、そこは誘った女子も弁えてたんじゃない?って何そんなに顔真っ赤にしてんの?」
「だって弥生さんが……」
いくら小声だからって、そっち方面の話をするから。
俯いてモジモジしてしまう。
「もしかして紗彩ちゃんって処……」
「ちょ、ちょっと弥生さん!!!」
慌てて弥生さんの口を手で押さえ、周りをキョロキョロ見回した。
こんなところで何を言い出すんですかっ。
「あ、その反応はビンゴか」
小さく頷いた。
察してくれてありがとうございます、だよ。
「何でだろう、紗彩ちゃんがピュアでホッとしている私がいる」
弥生さんはそう言って私を抱きしめた。
そして気が付くと、宴会場は無法地帯というか酔っ払いが続出していた。