【短】勇者の腕枕で アルマゲドン回避
主人公のジェームズが、カズミチに少し似てる。
色黒な肌。
笑うと出来る目尻の優しい皺。ニヤニヤしちゃう。
〈お前のことは俺が守る〉
お、愛妻ケイティーに言ったセリフの字幕がカズミチがあたしにくれた言葉と同じ!
キュンとしてしまう。
単純だな、もう夢中になってる。
ハルキが隕石に押しつぶされて死んでも、あたしは無関心だろうな。
ああ、馬鹿だ…
簡単すぎる自分に、少し呆れてしまう。
でも、不可抗力だ。
あたしのスカートのポケットには、2枚目の地図が潜んでいる。
小さな紙切れに、数本の横線と縦線と◯と☆印。
◯は、この映画館で、☆は、カズミチの住んでいるマンション。
ーー初めて佐々木を見たときから、好きだったんだ。
立場上、自分の気持ちを隠していたけど……
キスのあと、カズミチは、そう打ち明けてくれた。
映画館を出ると、真っ暗だった。
[あと、30分くらいで帰れそうだよ]
5分前にメッセージが入っていた。
どうしようかな…立ち尽くす私。
「佐々木さあん」
振り向くと、同じ制服を着た女がいた。