【短】勇者の腕枕で アルマゲドン回避


すうっとあたしの前を通り過ぎると、机の上に尻を乗せ、脚を組んだ。


あたしもスカートの後ろを押さえて、
折りたたみ椅子に座った。



こういう時、目上の人に
「お座り下さい」と言われてから座るのが常識なんだろうけど、あたしは、カズミチを別に目上だと思っていないので関係なし。



「佐々木、やっと来たなあ。学校どうだ?」

ニコニコと笑いかける。


うちとか、あたしのスマホにしつこく留守電いれてて、それが効果あったと思ってるんだろうね。

これだから、新米教師はヤダ。


「はあ…別に」


この位置関係だと、どうしてもカズミチがあたしを見下ろす形になる。


「お前のご両親も心配してるぞ。これからは毎日来いよ」


は?
あたし一人、家に置き去りにして、それぞれ愛人と暮らしてる人達が?


「…そんな話、どうでもいいよ」


さっきから、カズミチは自分の太ももを黄色いメガフォンで、ぱん、ぱん、と叩いてる。

暑苦しい。イライラする。


「よくねえよ。高校生の本分は勉強だぞ。お前、だいたい学校来ないで何してんだ?」



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