【短】勇者の腕枕で アルマゲドン回避
すごく心地良くて、私は半分、目を閉じた。
「キスしてくれたら、許してあげる」
カズミチの唇が近づいてきた。
しやすいように、顔を少し傾けてあげたのに、あたしのそれと触れるか、触れないかのギリギリで止まる。
キスするの?
躊躇してるの?
生徒とキスしていいのかな?って迷ってる?
馬鹿馬鹿しいよ。
「……キスの仕方、知らないの?」
「焦らしてるんだよ」
カズミチはクスと笑う。余裕の笑み。
「…へんなの」
あたしも濡れた頬のまま、笑った。
唇と唇が触れ合う。
カズミチの舌が、あたしの上唇をペロリと舐めた。
かすかにペパーミントの味がした。
あたしも舌を出して、カズミチの下唇に触れた。
ゼリーみたく、ぽよんとしてて気持ちいい。
……なんで、こんなシアワセな気分になるんだろ。
カズミチから、なんかジワジワと伝わってくる。
差し込む太陽の光は、濃度を増して、あたしの髪をオレンジ色に染める。
「……お前のことは俺が守るよ」
吐息のようなカズミチの声が、狭い空間に低く響く。