seasons.(シーズンズ)【完】
「長谷川はあそこの空いてる席だからなァ」


軽く会釈した転入生は宮ちゃんに促されてあたしの隣の空席を埋めた。
“芳賀”と“長谷川”。なるほど、出席番号でいけば隣になるのも頷けるわね。


「隣の席のよしみでよろしくな」


着席するなり、ニカッと歯を覗かせ笑い掛けてくる転入生。


「……あ、うん、よろしく」


ちょっと顎を引くような控えめなお辞儀でそう返せば、転入生は口角を上げて尚も笑顔のまま。

……うん、普通。プラスちょっと気安いかも。
これがあたしの中での転入生、もとい長谷川春輝の第一印象だった。
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