seasons.(シーズンズ)【完】
あれ、なんか俺ピエロみたいですごく悲しくなってきたぞ。
よし、今のは過去の恥として忘れよう。
脳細胞ほじくってでも記憶を抹消しよう。
俺が内心取り乱しているのをよそに、木村は続ける。
「春輝くんさ、今日のお昼ご飯夏枝のとこで一緒したでしょ?」
木村の声が心なしかワントーン低くなり厳粛さが際立つなか、俺は一日の出来事を整理しながら思い出した。
「――……ああ」
「加奈が何を伝えたいのか分かるよね?」
分かるさ。俺だって気になっていた問題だしな。
「あいつ応援に来てくれていた家族のこと“おじさん”と“おばさん”って呼んでた」
血の繋がっている家族を呼ぶには、あまりにも不自然な呼び方だ。
それが何を意味するのか、なんとなく察しはついているが。
「うん。春輝くん、夏枝と仲良くしてくれてるでしょ?夏枝もね、春輝くんのことすごい気に入ってるみたいなんだ。だからこそ早めに知っておいてほしかったの。夏枝のちょっとした過去と家庭環境のこと」
俺が無言で頷くとそれが合図になったらしい。
いつもの間延びした喋りではない木村は瞬き三回分くらいの間を置いて、
「夏枝はね、本当の家族を事故で失ってるんだ」
その言葉に、一瞬、時が止まったかのように俺の思考回路がフリーズした。
よし、今のは過去の恥として忘れよう。
脳細胞ほじくってでも記憶を抹消しよう。
俺が内心取り乱しているのをよそに、木村は続ける。
「春輝くんさ、今日のお昼ご飯夏枝のとこで一緒したでしょ?」
木村の声が心なしかワントーン低くなり厳粛さが際立つなか、俺は一日の出来事を整理しながら思い出した。
「――……ああ」
「加奈が何を伝えたいのか分かるよね?」
分かるさ。俺だって気になっていた問題だしな。
「あいつ応援に来てくれていた家族のこと“おじさん”と“おばさん”って呼んでた」
血の繋がっている家族を呼ぶには、あまりにも不自然な呼び方だ。
それが何を意味するのか、なんとなく察しはついているが。
「うん。春輝くん、夏枝と仲良くしてくれてるでしょ?夏枝もね、春輝くんのことすごい気に入ってるみたいなんだ。だからこそ早めに知っておいてほしかったの。夏枝のちょっとした過去と家庭環境のこと」
俺が無言で頷くとそれが合図になったらしい。
いつもの間延びした喋りではない木村は瞬き三回分くらいの間を置いて、
「夏枝はね、本当の家族を事故で失ってるんだ」
その言葉に、一瞬、時が止まったかのように俺の思考回路がフリーズした。