seasons.(シーズンズ)【完】
「ちょっと前に中間終わったと思ったらすぐ期末テストだもん。やる気出ないわー」

「でもそれが終わったら夏休みだよ。だから頑張ろ?」

「確かにそうよね!」


人差し指を立てて励ませば、突然勢い良く体を起こして星を散りばめたみたいに目をキラキラさせる夏枝ちゃん。

海水浴に夏祭りにバーベキュー、やりたいことは盛り沢山あると指を折りながら声を弾ませている。

さっきまでのジメジメしたオーラを一瞬で吹き飛ばした夏枝ちゃんの切り替えっぷりに、小さな笑いが込み上げてきた。


「ふふ」

「なんで笑うのよ?」

「夏枝ちゃんはおもしろいなあって思ったの」

「それは褒めてるつもりなのかしら?」

「そ、そうだよっ」


夏枝ちゃんが現れてから私の環境は大きく変化した。

たくさん友達ができて学校に行くことが楽しくなって、笑う回数も格段に増えた。

何よりあの一件のあと、凛ちゃんが真剣に謝ってきたものだから、思わず困惑した私が謝り返したら、じゃあ夏枝ちゃんが言っていたようにここはお互い様にしようって笑い合えたのが嬉しかった。

以来、充実した毎日を送れていると思う。
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