seasons.(シーズンズ)【完】
「知ってどうするの?」

「どうもしねーけどさ、気になったから」

「ふぅん」

「駄目か?」


ふさげて自分でも痛いと感じるほど甘えた声音でねだると、ナツは数秒考え込んで、


「しょうがないわね。隣の席のよしみで教えてあげる」


デリカシーの無い奴だと叱られるかと思ったが、意外にも気前よく俺の質問に答えてくれるようであった。


「秋人くんはね、あたしの恩人なの」


遠くを見つめながら穏やかに話すナツ。

恩人ときたがナツは過去に進藤から助けてもらったことがあるってことか?

不良に絡まれているところを、突然正義のヒーローの如く進藤が登場して撃退してくれたとか?

いやこれは無いな。寧ろ配役が逆の方がしっくりくる。

じゃあアレか。ただ単にテスト勉強教えてもらって恩人呼ばわりとか?

ぶっちゃけ妥当なラインかもしれない

……もしかして、いや待てよ俺。

まさかそんなはずがないよな。

でも俺の14年間の人生経験からいくと、こういう直感ってその“まさか”だったりすることが多いんだよ。
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