seasons.（シーズンズ）【完】
通り過ぎる教室からは賑々しい声が聞こえてきて、新しい環境に対する不安が少しだけ緩和されていく気がした。


「第一印象からしっかりな。うちの学年うるさい奴ばかりだから、少しくらいハメ外した方がウケいいと思うぞォ」
「はあ……」


いや、さすがにハメ外しちゃマズいだろ。
信憑性に欠ける助言は生返事で受け流し、俺は今回の学校生活について思考を巡らせてみた。

担任いわくクラス替え直後だから、外部からきた俺も溶け込みやすい雰囲気だろうとは言ってくれていたが、どうなることやら。
既にリーダー格の存在があれば、そいつにいかに気に入ってもらえるとかも大きいし、一人ぽいっと投げ出されてきた転入生は、そのままイジメの標的コースにまっしぐらするパターンも無きにしも非ずだ。
幸い俺が除け者にされた経験はないのだが、一度だけ転入先でイジメっ子のガキ大将が仕切るクラスに入ったことがあって、その時少しでも被害者の味方をした俺にまで大胆ないやがらせが及んだ時は、安っぽい正義感を後悔してしまった。
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