seasons.(シーズンズ)【完】

追憶

*夏枝side


あれは去年のゴールデンウィークのことだったわ。

あたし達一家は思い出作りということで、市外の山奥リゾート地にある遊園地を訪れていたの。


「おとーさーん!おかーさーん!早く早くー」

「そんなに急がなくても遊園地は逃げないぞ」

「でも早く乗り物乗りたいんだもん」

「夏枝は本当に元気だけが取り柄って感じだよな」

「“だけ”ってなんか失礼ねー」


時に厳しく時に優しく、頑固だったけどやっぱり自慢だったカッコイイお父さん。


「ねっ、お母さんも早く乗りたいわよね?」

「そうだけど、お母さん怖い乗り物はちょっと……」

「せっかく来たんだから乗らなきゃ損よ」

「そうかしら?」

「そうよ」


趣味は料理、裁縫、植物栽培、とあたしには無い本当の女性らしさを持っていた可愛いお母さん。
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