seasons.(シーズンズ)【完】
このままじゃ駄目だって自分でも分かってて、あたしは意を決して学校に行くことにしたわ。

新しい友達を作って新しい自分を見つけて、また笑顔で毎日を送れる日々を取り戻そうって、そう思ってたのに……人間って不思議なものね。


「木村加奈っていいま~す。加奈って呼んでね~」

「夏枝ちゃん、昼休み遊ぼー」

「得意なスポーツとかある?そういえば部活入らないの?」


こういうの隣の芝は青く見えるって言うんだっけ?

更に自分が不幸のドン底に追いやられていたせいか、嫌でも周りの子が幸せそうに見えてくるのよ。

それも過剰なくらいに。

無いものねだりなんでしょうね。

寄って来るクラスメイトを尻目に、どうしてあたしだけこんな目に?どうしてあたしだけ辛い思いしないきゃいけないの?どうしてあたしを選んだの?って。

あたしの胸中には恨みの念ばかりが生まれてきた。

のうのうと過ごしてるこの人達には掛け替えのない温かな家族がいて、でもそれはあたしにはもう無いもので……。
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