seasons.(シーズンズ)【完】
まぁ、その学校に通った期間は半年にも満たなかったから、今思えば死にたいほどの苦痛ではなかったのだが。
俺がいなくなってからアイツがどうなったかは、なるだけ考えないことにしている。
そんな薄情な自分に嫌気がさした。
こんな形で罪悪感に苛まれるのは二度と御免だと、人知れず涙を流した。

それ以来、いくらか慎重になって行動している部分は否定できない。
初対面の人間相手なら尚のこと。
ただ、いくら慣れっことはいえ転校の度に悩まされていることがあって、こうして考察しても結局周囲の連中とのコミュニケーションをとらないことには始まらないのが現実だ。

だからこそいつしか俺は、誰にも当り障りのない凡人を取り繕うことが自然になっていた。
同年代の奴らより順応力に優れ、人を見る目にも長けていると自負はしている。
別段目立つことをしなければ、妬みや僻みをぶつけられることもないだろう。
俺は新たなクラスでもそういうポジションについて、中学校生活最後の一年間をのんびりと過ごしたい。
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