seasons.(シーズンズ)【完】
「話聞いてくれてありがと。じゃああたし逝くから」


授業終了のチャイムが鳴る前にと、再びフェンスに触れるあたしに、


「もう逝ってしまうんですか」


残念そうに彼は言った。


「……何?アンタも賛成なんじゃないの?」

「賛成というかそれであなたが楽になれるのなら。ただ、僕は悲しいです」

「え?」

「せっかくこうしてあなたと仲良くなれました。ですが、もう二度と会えないとなると心が痛みます」


ちょっと呆れちゃったわ。今更同情が始まったのか、って。

だいたい仲良くなったわけじゃないないし。


「あなたがこの世を去ったあと、きっとたくさんの人が悲しみます。お世話になっているおじさんやおばさん。先生やクラスメイト。そして僕も、現在のあなたのように苦しむことになるかもしれない。分かりますか?あなたのやろうとしていることは悪循環にすぎないんですよ」
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