seasons.（シーズンズ）【完】

でもなぜかしら。秋人くんの言葉には見えない重みや説得力があって、


「そんなの知ったこっちゃないわ！あたしの気も知らないくせにデカい口叩いてんじゃないわよ！」


あたしは反抗しつつも、自分の心に色々なものが刻まれていくのを感じていた。


「天国にいるあなたの家族だって、こんなことを望んでいるとは思えませんよ。寧ろ自分達の分もあなたに生きてほしいと願っているはずです。家族のためを思うのならあなたは強く生きるべきだと僕は思います。生きたくても生きられない人もいること、あなたが死んで悲しむ人がいること、忘れないでください」


忘れかけていた大切な気持ち。

本来の明るいあたし。

これからの輝いた未来。

心の中に潜む暗闇の部屋に閉じ込めていた全てを、秋人くんが蘇らせてくれた。


「それだけ伝えておこうと思いまして」


そよ風が二人の間を流れ訪れた、長くも短くもない沈黙。

それを破ったのはあたしの方だった。