seasons.(シーズンズ)【完】
*春輝side


「――こんなところかしら。だから同じクラスになれた時は本当に嬉しかったの」


長々と話し終えたナツは、遠くを見つめながら苦笑いした。

気を遣っているつもりなのだろうが、俺はその笑顔にかえって胸が締め付けられる。

……そうか、コイツにとって進藤は本当の意味での恩人だったんだな。

どうりで特別扱いなわけだ。


「強いんだな」

「誰が?」

「お前しかいないだろ」


そこまで堕ちたのによく立ち直れたもんさ。

こればかりはお前の精神力を見習いたいとさえ思う。

あんな煽りを入れたにも関わらず、救ってやった進藤もすごいけどな。


「あー、なんか洗いざらい話したらスッキリしたわ。いつ打ち明けようかウズウズしてたからね」

「そうか。ありがとな」

「どーいたしまして。その代わりハルもあたしに隠し事しないでよね?隣の席のよしみなんだからさっ」


そうだな。俺らは腐った縁で繋がったよしみだもんな。


「……あら、雨止んでるわね」


ナツの言う通り、いつの間にか水溜りから波紋が無くなっていた。

雲の動きに伴い、地面がふっと明るくなる。
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