seasons.(シーズンズ)【完】
「てことは夏休み中も、米澤さんとは毎日顔を合わせることになりますね」

「あはは、そうだよね」


こんな天気ともなればやはり暑いのか、掌をパタパタさせながら微笑む米澤さん。

僕は彼女がこのあと発したセリフに、愕然とさせられることになる。


「こうして二人で話す機会ってあんまりなかったよね。いつもみんながいるから」

「確かにそうでうすね」

「そうだ。せっかく仲良くなれたし進藤くんじゃなくてあっくんて呼んでもいいかな?」

「え?」


……あっくん……?

突拍子も無い申し出に、言葉を失う。


「あっ、嫌ならいいの!ただ名字にくん付けのままだと壁がある感じがするし、私いっつも男の子のことそうやって呼んでたから、その、進藤くんみたいに接点のある男の子いたことなくて、あのーだからちょっとフレンドリー気取ってあだ名で呼んでみたいなっていうのがあったっていうか……」


どこで息継ぎしているのかと疑いたくもなるような、早口マシンガントーク。

米澤さんはあせった様子で、かつて聞いたことが無いほどの長文を述べた。
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