seasons.(シーズンズ)【完】



というわけで私達は夏枝ちゃんの晴れ姿を見届けるべく、仮説ステージ付近で待機していた。

本当は近くで見たかったけど、前方にあるビールケースと木の板で作られた椅子は満席だったから、後ろの方の人ごみにまぎれることに。


「夏枝歌すっごく上手いから、みんなビックリするよ~」


加奈ちゃんが言うからには事実なんだろうけど、本当に楽しみ。

夏枝ちゃんって人前に出るの向いてるんだろうなぁ。

私には到底無理なことを、平然とできる夏枝ちゃんには頭が上がらないや。


『皆さん長らくお待たせいたしました!カラオケ大会はじまりますよー!』


市松模様のはっぴを着た司会のお兄さんの活気ある声を合図に、ステージがライトアップされた。

短い雑談のあと、エントリー№1番のおじさんの曲がスタート。

それから次々と参加者が自らの歌を熱唱していき、待っていました我らが夏枝ちゃんの登場。


『ありがとうございましたァー!さぁさぁそれでは次はエントリー№7番、自称東雲中学校の歌姫!芳賀夏枝さんの登場でーす!』


隣で「誰が歌姫だ」と長谷川くんが小さく突っ込みを入れていた。
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