seasons.(シーズンズ)【完】



「三位ねぇ……ちょっと納得いかないけどこんなもんかしら」


全てのエントリー者が歌い終え結果発表。

残念ながら夏枝ちゃんは優勝できなかった。

私達のもとに戻ってきた夏枝ちゃんは、口元をヘの字にしている。


「仕方ないって。年齢層考えると優勝したおっさんの歌の方がウケいいしさっ」


私の中では夏枝ちゃんの歌が一番だったけど、金沢くんの言葉も一理あるのかな。


「で、でも私はすごい感動したよ!」

「ありがと冬香。来年はデュエットってのも有りかもねー」

「誰と誰が?」

「あたしと冬香が」


そそそ、それはちょっと……。


「ところでよ、三位の景品ってなんだったんだ?」


長谷川くんの疑問に一同頷く。

夏枝ちゃんも未確認だったらしく、手に持っている紙封筒を一瞥するなり矢継ぎ早に開け始めた。


「……図書券?」


中から出てきたのは紛れもなく図書券四枚。二千円分。

夏枝ちゃんは「どうしてよりによって図書券なのよ」と訴えてくるように、口をアヒルの如く尖らせていた。
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