seasons.(シーズンズ)【完】
結局、申し訳ないと感じつつも千円分の図書券を頂いてしまった私。
夏枝ちゃんの強引さには勝てないよ。
「――さてと。もうこんな時間だし、巡回の先生達にどうのこうの言われる前にずらかった方がいいわよね」
時刻は八時過ぎ。
ここら一帯はお祭り仕様で明るいけど、少し車通りの少ない裏路地に入れば、辺りは真っ暗だろう。
今日は曇り空で、月明かりもあまり頼りにならないから。
心なしか肌寒くなってきたし、お開きにはちょうどいいのかも。
「ええー?これからが本番じゃんね?」
「そうだよ~、もうすぐ花火とかあるのに~」
当然みんな賛成かと思いきや、不満を漏らしたのは金沢くんと意外にも加奈ちゃん。
「けどあたし、これから家でご馳走用意して祝ってくれるらしいから帰らないといけないし」
誰もが言葉に詰まる状況。
すると気まずい沈黙を破るように、俯く夏枝ちゃんの携帯が鳴った。
お相手は保護者の方みたいで、
「やっぱり急いで帰宅しなきゃいけないわ。もうそこまで迎えに来ているみたいなの」
夏枝ちゃんは残念そうに言った。
夏枝ちゃんの強引さには勝てないよ。
「――さてと。もうこんな時間だし、巡回の先生達にどうのこうの言われる前にずらかった方がいいわよね」
時刻は八時過ぎ。
ここら一帯はお祭り仕様で明るいけど、少し車通りの少ない裏路地に入れば、辺りは真っ暗だろう。
今日は曇り空で、月明かりもあまり頼りにならないから。
心なしか肌寒くなってきたし、お開きにはちょうどいいのかも。
「ええー?これからが本番じゃんね?」
「そうだよ~、もうすぐ花火とかあるのに~」
当然みんな賛成かと思いきや、不満を漏らしたのは金沢くんと意外にも加奈ちゃん。
「けどあたし、これから家でご馳走用意して祝ってくれるらしいから帰らないといけないし」
誰もが言葉に詰まる状況。
すると気まずい沈黙を破るように、俯く夏枝ちゃんの携帯が鳴った。
お相手は保護者の方みたいで、
「やっぱり急いで帰宅しなきゃいけないわ。もうそこまで迎えに来ているみたいなの」
夏枝ちゃんは残念そうに言った。