seasons.(シーズンズ)【完】



「オレ金沢茂文(かなざわしげふみ)!シゲって呼んでも良いんだぜ!」


ホームルームのあと、真っ先に俺のもとへ近付いてくるなり、いきなり肩を組んできたのはツンツン頭の男子。
自己紹介時にウインクしてきたあの男子だ。
最初はなんつー馴れ馴れしい奴だと思ったが、先程の隣人とのやり取りを思い出すと、きっと人のことを言える立場じゃないだろう。

ぶっちゃけこの手の人種は嫌いじゃない。
寧ろ親しみやすいと主張できる俺も、つまりは同類なんだろうな。
類は友を呼ぶとはこのことか。


「じゃあ俺のことはハルで」
「ラジャー!オレらシゲ&ハルでユニット組めそうじゃね?」
「はは、なんだよそれ」
「次のバレンタインは二人でトラック一台分のチョコも夢じゃないぜ!」
「仮にそれが叶っても一ヶ月後に地獄を見そうになるな」
「確かに!小遣いお返し代に全部消えちまうな」


だから何の躊躇いもなく俺はシゲを受け入れた。
誰に声をかけるべきか様子見していた俺にしてみれば、向こうから接近してきてくれたのは有り難かったのが本音である。
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