seasons.(シーズンズ)【完】



講習が終わるなり、あっくんを避けるようにそそくさと塾を出た。

待ち合わせ場所は塾から徒歩五分ほどで着く駅隣の噴水広場のベンチ。

時間にはちょっぴり早いけどそこで本でも読んで待っていよう、なんて考えながら歩いていた時、ドンッと鈍い音と同時に肩に衝撃が。

余所見をしていて肩と肩がぶつかってしまうなんて、ベタなシチュエーションだ。


「いってェな、クソヤロー」

「す、すみません」


すぐ振り返って頭を下げようとしたけど、


「ア?こいつ米澤じゃね?」

「え、ダレ」

「D組の根暗だよ」


驚倒させられた。

運悪くも私のぶつかった相手は東雲中学校の、しかも同学年の不良組の一人。

間違いない。何度か廊下で見たことのある顔だもん。


「あの……すみま、せん」

「すみませんで済むなら警察はいらねーんだよバーカ」


やだ怖い。どうしよう。

不良達は私を囲むように距離を詰めて来る。


「そーいやコイツいきなりイメチェンしやがったのな」

「へぇ~、よく見たら可愛い顔してるじゃん」

「そうかァ?」

「お前よく見ろよ。マジ可愛くね?」

「う~ん」


メンバーの一人が唸りながら私の顔を覗き込んできた。


「ゃ……」
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