seasons.(シーズンズ)【完】
「……冬香」


真実なんて本人にしか分からないもの。

こういうことは深く詮索しないのが一番よね。

ってこんなヘドロみたいな腐った思考張り巡らせていたら、いつの間にか冬香と合流する時刻になっていたりして。

結局加奈と時間潰ししたカラオケでは本調子が発揮できないし、それより冬香と秋人くんの話が気になって加奈に相談してばっかりだったような……。

深く詮索しないって言ったそばからこれだもん。

加奈は「夏枝に辛い思いさせるくらいなら黙っとけば良かったね」なんて言ってきたけど、そんなの良いはずがないわ。

いずれ知ることになるだろうし、隠し事なんてされて気分のいいものじゃないもの。

個人的には本人の口から聞きたかったけどね。

そうもいかないのはあたしでも十分察しているわよ。


「広場の噴水で待ち合わすように言ってあるから、そろそろ行ってみようか~」

「そうね」


兎にも角にも、前から気になってた大好きなアイスの専門店に足を運ぶ日がきたのよ。

それをこんなローテンションで臨むなんて、アイス様にも失礼じゃない!
< 169 / 410 >

この作品をシェア

pagetop