seasons.(シーズンズ)【完】
「ねえ夏枝」

「んー?」

「あれ冬香ちゃんだよね?」

「んー?……ん!?」


加奈がポカンと口を半開きにして一点を見つめていたから、あたしもその先に目をやれば、どこぞやのトリートメントのCMに出てきそうな、モデル級のサラサラロングヘアーに清楚な私服姿の少女が映った。

遠目で見ても分かる。

あれは冬香だわ!

……いやでも待ちなさいよあたし。

今映っている少女が起こしている行動を、もう一度目の穴かっぽじって見てみなさい。


「何してんのよあの子!」


冬香に違いないはずだけど、いくらなんでもやってることがぶっ飛んでるわよ!?

なんで男の腕にしがみついてるの?

何?秋人くんのことと言い、逆ナンパ道にでも走っちゃったわけ?

ていうかよく見たら相手も東雲中の連中じゃないの!

あー、もうわけ分かんないわっ!


「かくなるうえは乱入よ!」

「お~!」


後先考えず冬香のもとへ一目散。

さすが加奈、あたしの行動パターンを分かっていらっしゃるわ。

止める気配もなく意気投合してくれた。
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