seasons.(シーズンズ)【完】
*
次の日。
すっかり馴染みとなった講習会で、私は自らあっくんの隣の席を選んだ。
「あっくん」
名前を呼ぶと、らしからぬ気の抜けた表情を一瞬見せてから、すぐにニコリを微笑み掛けてきてくれた。
「冬香から声を掛けてくるなんて久し振りですね」
そうだね。神社祭り以降私から話しかけたことなんて一度もなかったもん。
じゃあなんでいきなり話し掛けたかって?
「いきなりで悪いんだけど、訊いてもいいかな?」
「なんでしょうか?」
そんなの決まってる。
今私の脳内を隙間なく埋め尽くしている話題。
「片桐涼人くんって知ってるかな?」
「同学年にそんな名前の方がいたと思いますが」
「訊き方が悪かったね。あっくんは彼と何らかの関わりがあるの?」
問えばあっくんは僅かに目を細めて俯いた。
周囲の話し声が少し鬱陶しい。
「……あるんだね」
「否定はしません。事実ですから」
困ったように肩をすくめるあっくん。
嘘を通そうとしない辺りは彼らしいとも思う。
「ほなみっていう子とも関係あるんだよね?」
疑問符を付けたのに今度は返答がなかった。
次の日。
すっかり馴染みとなった講習会で、私は自らあっくんの隣の席を選んだ。
「あっくん」
名前を呼ぶと、らしからぬ気の抜けた表情を一瞬見せてから、すぐにニコリを微笑み掛けてきてくれた。
「冬香から声を掛けてくるなんて久し振りですね」
そうだね。神社祭り以降私から話しかけたことなんて一度もなかったもん。
じゃあなんでいきなり話し掛けたかって?
「いきなりで悪いんだけど、訊いてもいいかな?」
「なんでしょうか?」
そんなの決まってる。
今私の脳内を隙間なく埋め尽くしている話題。
「片桐涼人くんって知ってるかな?」
「同学年にそんな名前の方がいたと思いますが」
「訊き方が悪かったね。あっくんは彼と何らかの関わりがあるの?」
問えばあっくんは僅かに目を細めて俯いた。
周囲の話し声が少し鬱陶しい。
「……あるんだね」
「否定はしません。事実ですから」
困ったように肩をすくめるあっくん。
嘘を通そうとしない辺りは彼らしいとも思う。
「ほなみっていう子とも関係あるんだよね?」
疑問符を付けたのに今度は返答がなかった。