seasons.(シーズンズ)【完】
「……失礼しました」


あっくんの小声の謝罪さえも、静まり返った教室内ではやけに大きく聞こえた。

それからあっくんは何事もなかったかのように椅子を直して着席し、携帯電話を取り出して何やら文字を打ち始めた。

私はというと、目の当たりにした出来事を整理しようと、必死に頭をフル回転させてみるのが精一杯だ。

……いま、一体なにが?

あっくんが怒った?

あの穏やかな性格のあっくんが?

私があっくんを怒らせた?


「……ごめんなさい」


謝り返して席を立つ。

あっくんからなるだけ離れた席に移動して、私は自分のしてしまったことを悔やんだ。

最低……これじゃ結果的に不快な思いをさせちゃってるのは私の方だ。

いつもそう。私はやってから後悔することが多い。

こんな自分が嫌い。

だいっきらい。
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