seasons.(シーズンズ)【完】
「それは……すみません」

「謝って済むことじゃねェんだよ!ふざけやがって」

「すみません」

「なんでテメェなんだよ。いつもいつも俺の周りのもの奪っていきやがって!」

「すみません」

「ほなみだって、結局テメェが……」


怒りに肩を震わす涼人に僕はひたすら謝ることしかできなかった。

他にどうすればいいか思いつけるほど余裕もなかったし、何より頭を下げることが償いだと言い聞かせて、自我を保つしか方法がなかったからだ。


「なぁ涼人、なんだってんだよ」

「このメガネ謝ってばっかじゃねーか。やる気あんのか」

「涼人に何しやがったんだよクソメガネ!」


吠えるように暴言を投げてくる取り巻き。


「なんでほなみが……ッ、ほなみじゃなくてテメェが死ねばよかったんだろうが!」


その一言を合図にしたかのように、涼人のすぐ後方――僕の少し前方にいた不良の一人が一歩踏み出して、持っていた缶ジュースをこちら目掛けて投げつけてきたのが見えた。

徐々に缶が大きくなってくる映像は、スローモーションを連想させる。
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