seasons.(シーズンズ)【完】
僕はかわそうとはしなかった。

寧ろこのまま缶を当てられジュースを被ることで、相手の気を静められれば幸いだと感じていたのだ。

半ば諦めたように目を閉じた。

――でもなぜだろう?痛みも濡れる感触もないのは。

そっと瞼を上げてみる。


「!」


言葉を失った。

なぜなら僕の瞳に映ったのは、まっすぐな長髪がジュースまみれになっていて、見るも無残な姿になっている女の子だったからだ。


「冬香……!?」


それは想定外にもほどがある人物だった。


「ンだこの女?」

「どっから出てきやがった!?」

「……で」

「ハァ?」

「あっくんを責めないでッ!」


“ほなみ言ってたわ。秋人くんのことを責めないでって”

……この言葉は――ほなみだ。


「理由はどうであれ、こうなところで騒動を起こすものじゃありません!それは前回の件で私自身よく学んだことですから。それにあっくんは悪いことするようなモラルのない人じゃありません!」
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