seasons.(シーズンズ)【完】
*
「どうぞ」
住宅地にひっそりと存在していた公園のベンチに腰かけて、近くのコンビニで購入してきたタオルを手渡す。
「あ、ありがとう……」
タオルを受け取った冬香は、控えめに髪を拭いていた。
投げられたのはレモン味の炭酸水だったようで、冬香の髪から風に流された柑橘系のにおいが、僕の鼻をかすめる。
「あの、」
「ごめんね」
こちらが謝ろうとしたというのに先手を突かれてしまった。
「こんな騒ぎになっちゃったの、私のせいだね」
「そんなこと……」
「でもあっくんのこと悪く言うからカッとしちゃって……許せなかったの。あっくんが責められてるの黙って見てられなかった。自分が犠牲になってでも守りたいって思ったからあんなこと……」
すぐに自分の発言を思い返したらしい。
冬香はハッとして顔を赤らめた。
「わっ、私ったら何言っちゃってるんだろ!?今の忘れて!なかったことにしてね!」
タオルを顔面に押し付けて手をあたふたする姿は、いつもの冬香そのものだった。
でもそれを見て安心した。
てっきり人格が変わってしまったのかと心配していたのだから。
「どうぞ」
住宅地にひっそりと存在していた公園のベンチに腰かけて、近くのコンビニで購入してきたタオルを手渡す。
「あ、ありがとう……」
タオルを受け取った冬香は、控えめに髪を拭いていた。
投げられたのはレモン味の炭酸水だったようで、冬香の髪から風に流された柑橘系のにおいが、僕の鼻をかすめる。
「あの、」
「ごめんね」
こちらが謝ろうとしたというのに先手を突かれてしまった。
「こんな騒ぎになっちゃったの、私のせいだね」
「そんなこと……」
「でもあっくんのこと悪く言うからカッとしちゃって……許せなかったの。あっくんが責められてるの黙って見てられなかった。自分が犠牲になってでも守りたいって思ったからあんなこと……」
すぐに自分の発言を思い返したらしい。
冬香はハッとして顔を赤らめた。
「わっ、私ったら何言っちゃってるんだろ!?今の忘れて!なかったことにしてね!」
タオルを顔面に押し付けて手をあたふたする姿は、いつもの冬香そのものだった。
でもそれを見て安心した。
てっきり人格が変わってしまったのかと心配していたのだから。