seasons.(シーズンズ)【完】
「いつか片桐くんとも分かり合えて、ほなみさんへの罪滅ぼしもして、あっくんが心から笑える日がくるように私協力するから」


さわさわと鳴り渡る葉音に紛れて、


「だから、泣かないで?」


あっくんの体は小刻みに震えていた。

顔を下に向けているため涙は確認できないけど、鼻を啜る音が確かに聞こえてきたのだ。

私はあっくんの支えになりたいと感じている。

この気持ちがどの部類に入るのかと訪ねられたら、きっとそれは夏枝ちゃんを裏切る答えになるだろう。

私はとうとう自分の気持ちに気付いてしまったのだ。

ライクの境界線を越えた“好き”に。

これからどうして行くかは分からないけど、裏切られる悲しさは痛いほど知っているから、なるべく本当の想いは押し殺していきたい。

私もこの夏で少しは成長できたらしい。


「あっくん……もうすぐ秋だよ。あっくんの季節だね」


その言葉にあっくんは、俯いたまま小さく頷く。

未知の感情と出会って、それに戸惑って、新しい自分を見つけて、真実を受けとめて。

そんな変化のあった夏が、静かに幕を閉じようとしている。
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