seasons.(シーズンズ)【完】
「そういえばハルはどこか遠出したの?」


腕をかきながらナツが問い掛けてきた。


「特には。男集団でチャリかっとばして、当てもなく市内ブラついたり川で釣りしたくらいだ」

「ふ~ん」


いかにもつまらなさそうな反応だな。


「秋人くんと冬香は結構離れたのね」


俺達二人が運良く窓側一番後ろという最高のポジションをゲットした反面、進藤は俺の列の最前列、米澤は廊下側の前から四番目の席に配置されていた。

シゲと木村もこれまた微妙な位置に着席している。

残念なことに今回の席替えで、俺とナツ以外はまだらに散ってしまったのだ。


「ちょっと安心、てところか?」

「……別に」


意味深な沈黙があった。

どうかしたのか?

そう訪ねようとしたらこのタイミングで鐘が鳴りやがった。

空気の読めない鐘だな。
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