seasons.(シーズンズ)【完】
「ヒマワリって夏の花よね?」

「そうですね。夏の季語としてもよく使われていますし」

「それなのにこの子どうして枯れないのかしら?」

「たまたま丈夫だったのでは?それか周りの花の分も栄養を吸収してるとか?大きい花ですからね」


なるほど。花社会でも弱肉強食ってわけかしら。


「ヒマワリの花言葉知ってます?」


進藤くんの質問に、あたしは黙って首を左右に振る。


「“あなただけを見つめている。あなたは素晴らしい”などと聞いたことがあります。ヒマワリの太陽に対する想いみたいですよね」


あなただけを見つめている――まるであたしみたい。

ヒマワリはあたしで、光を与えてくれた太陽は秋人くん。

ただ一途にあなただけを想っている……。


「秋人くんやけに詳しいけど花好きなの?」

「もちろん好きなのもありますけど、それより母の趣味がガーデニングでして」

「それで影響されてるのね?わかるなぁ、あたしのお母さんも好きだったし」


お母さんのことを口にしたことで楽しかった家族との日々、辛かったあの数週間の記憶が蘇ってきた。

ダメダメ、せっかく秋人くんと二人きりなのに、悲しいこと思い出しちゃうなんて。

その状況から救ってくれた秋人くんの前でなら、尚更落ち込むわけにはいかないわ。
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