seasons.(シーズンズ)【完】
*
その日の夜、僕は幼少の頃の夢を見た。
ほなみと二人、小学校の校庭を駆け回る夢。
僕は鬼役のほなみに捕まらないようにと、懸命に逃げていた。
「捕まえたっ」
けれど昔から運動が苦手だった僕はあっさり追いつかれてしまう。
腕をつかまれた拍子にバランスを崩し、僕らは共に芝生の上に寝転んだ。
「えへ」
「あは」
「えへへへへ」
「あはははは」
むしょうに可笑しくなり、互いに顔を見合わせ笑いをこぼす。
途端、目の前が薄暗くなり、首元に生じた強い圧迫感。
「ッ、ほ……な……!?」
ほなみが僕にまたがり首を絞めてきていたからだ。
息ができない。苦しい。
なぜ?なぜこんなことをするのですか、ほなみ!
胸の内で問い掛ける。
「なぜ?自分のしたこと思い返してみてよ」
「な……ッ?」
「私のこと殺しておいて、自分だけ幸せになろうなんて」
「!」
全身を言葉という凶器で刺されたような衝動が走る。
「許さない」
怨念しか感じられないような冷酷無情な声調。
「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない……」
ほなみが首を絞める腕に力を入れることにより、僕の意識は遠退いていく。
ぷつり、と思考が途切れた。
その日の夜、僕は幼少の頃の夢を見た。
ほなみと二人、小学校の校庭を駆け回る夢。
僕は鬼役のほなみに捕まらないようにと、懸命に逃げていた。
「捕まえたっ」
けれど昔から運動が苦手だった僕はあっさり追いつかれてしまう。
腕をつかまれた拍子にバランスを崩し、僕らは共に芝生の上に寝転んだ。
「えへ」
「あは」
「えへへへへ」
「あはははは」
むしょうに可笑しくなり、互いに顔を見合わせ笑いをこぼす。
途端、目の前が薄暗くなり、首元に生じた強い圧迫感。
「ッ、ほ……な……!?」
ほなみが僕にまたがり首を絞めてきていたからだ。
息ができない。苦しい。
なぜ?なぜこんなことをするのですか、ほなみ!
胸の内で問い掛ける。
「なぜ?自分のしたこと思い返してみてよ」
「な……ッ?」
「私のこと殺しておいて、自分だけ幸せになろうなんて」
「!」
全身を言葉という凶器で刺されたような衝動が走る。
「許さない」
怨念しか感じられないような冷酷無情な声調。
「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない……」
ほなみが首を絞める腕に力を入れることにより、僕の意識は遠退いていく。
ぷつり、と思考が途切れた。