seasons.(シーズンズ)【完】

幸せの裏側

*春輝side 


「いてて、シゲのやつ手加減なしだもんな」


修学旅行も三日目に突入。

行き先が遊園地ということで本日が山場と言えるためか、バス内は凄まじい活気に包まれていた。


「ったりまえジャン。そりゃあ女の子相手ならともかく男相手に誰が手加減するかってんだぁよ。レディには手を出さない分野郎には容赦ないぜ~ぃ。なんならハルにもジェントルメンの生き様を伝授してやんよ」


昨夜の枕投げで頭部を軽傷した俺に、シゲはスティック菓子をパイプに見立てて力説しだす。

人の足を引っ掛けて転倒したところに枕を何度もぶつけてくる、あれのどこがジェントルマンだ。

紳士気取りなら、男女平等に優しくしやがれ。

俺が不服を申し立てていると、


「美味しそうな匂いね~。あたしにもちょうだい」


ナツが菓子の匂いを嗅ぎ付けて、ひょっこりやってきた。


「アンタ達昨日の夜枕投げして宮ちゃんに怒られたんですってね?」


そしてどこから情報を仕入れたのやら昨晩の騒ぎをネタにしだす。
< 237 / 410 >

この作品をシェア

pagetop