seasons.（シーズンズ）【完】

「米澤冬香、相変わらずブレないわね。何か親しくなれるような行事があればいいんだけど」


悩ましげに小さな唸り声を上げるナツ。
みんなが新しいクラスメイトと楽しい毎日を築いている傍ら、相変わらず米澤は孤立していた。
手のつけようのない不良すらいないものの、我がＤ組で今や問題児と可しているのは、あろうことか米澤である。

この件に関して先日宮ちゃんに相談したところ、教員達からも何度か呼び掛けたことがあったらしく、それでも米澤は親切を頑なに拒んだそうだ。
下手に接触を続けると、登校拒否や不正行為をしかねない。
大人達も考えあぐねた結果、本人にその気がない以上放置するしかない、という境地まで追いやられているわけである。

米澤の場合問題点はそこだけであり、学業面での成績はとても優秀だとか。
だからこそ、尚更その問題点があまりにも大きすぎる難として浮かび上がってしまうのだ。