seasons.(シーズンズ)【完】
*夏枝side

 
good luck――幸運を祈る。

ハルの言葉は大いにあたしの励みとなった。

秋人くんと二人きりにさせてもらって成果無しじゃ、あれだけ頑張ってくれたハルに顔向けできないわ。

最大のチャンスを逃すわけにはいかない。

今日、あたしはあたし自身の想いに決着をつけようとしていた。


「長谷川やけにハイテンションだったと思いません?」


四人が人ごみの中へ消えすっかり見えなくなってしまった頃、秋人くんが不思議そうに訪ねてきた。

ええ。あたしもあそこまで羞恥心を捨てたハル初めて見たわ。

きっとそこまでしてこのシチュエーションを作ってくれたのね。


「あの、秋人くん?」

「はい?」


チラリと横目で秋人くんを見やる。

交渉成立させなきゃ。


「みんな行っちゃったし、ちょっとの間あたしと二人で回らない?実は私フリーフォールだけは苦手で、どうせ今からみんなについて行っても乗れないし」


あたしの予想外の発言に、秋人くんはキョトンとしている。
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