seasons.(シーズンズ)【完】
地方限定のお菓子やマニアックな特産品など、どれも見ているだけで楽しくなる物ばかり。


「わぁ、可愛い……」


その中でも一段と目を惹かれたのは、一角にあったお守り。

桃色の鈴に赤い紐を通した恋愛運上昇のお守りで、隣には色違いで水色もあった。

カップルとかでお揃いにできそう。

秋人くんとお揃いにしたいな……なーんてね。


「気に入りましたか?」

「わっ!?」


一人ニヤけていると、後方からの癒しボイスに心臓が跳ねた。


「ちょっと秋人くん、平気なの?」

「はい。少し安静にしてたらだいぶ楽になりました。なので飲み物も薬もいりませんよ」


なんて凄まじい回復力……!さすが秋人くんだわ!


「色違いがあるんですね。お揃いにしましょうか?」

「え……?」


お守りを指差して、見事にあたしの心中を察した秋人くん。

いつもそう。あなたはあたしの欲しい言葉をくれる。

でも一番欲しい言葉だけはくれないの。
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