seasons.(シーズンズ)【完】
正直私にとってこの状況はかなり堪えた。

まるで最近良いこと続きだった私に罰が下されたかのよう。


「だぁーッ違う違う!あのさ話聞いてた?そこは右腕をこうやって回すの!わからないならわからないってちゃんと言ってよね。教える側の身になってよマジ!」


いい加減イラっときたらしく柳田さんは頭を抱えて叫ぶと、声量を落とすことなく説教を始めだした。

うわぁ……どうしよう。

どうすれば柳田さんの怒りを鎮めることができるかな?

って私がちゃんと踊れればこんなことには……。

でも一度であんなに教えられても、素人にできるわけないよ。

心の奥で不満を漏らしながら柳田さんの喝に堪えていると、


「な~に発狂してるのよ」

「あっ、ちょっと助けてよ夏枝ぇ~」


タイミングよく夏枝ちゃんが通り掛かってくれた。

その腕には数枚のダンボールが抱えられている。


「米澤さん運痴すぎなんだもん!」


呆れた様子で柳田さんが言い切る。

運動音痴=略して運痴。

私みたいな人のことを言うらしいけど、ちょっとその響きが嫌だなぁ……。
< 253 / 410 >

この作品をシェア

pagetop