seasons.(シーズンズ)【完】
「まぁ落ち着きなさいよ。一気に教え込もうたって、逆上がりすらできたことない冬香相手に無謀だわ」

「え、マジで?米澤さん逆上がりできたことないの!?どんだけ~っていうか、マジどんだけ~みたいな」


信じられないといった顔をこちらに向けてくる柳田さん。

なんだかけちょんけちょんに貶された気分だよ……。

そりゃ柳田さんはバレー部に所属してたし、うちのクラスの女子のなかじゃ夏枝ちゃんに続いて運動神経は優れている方だから、私に勝ち目はないけれど。


「少しくらい休憩入れなさいって。みんな疲れてるでしょ?」

「んー……それもそっかな。うし!じゃあ10分休憩!」


10分だけでもありがたいくらい私はヘトヘトだったので、柳田さんの指示を聞くなり床にペタリと座り込む。


「夏枝ちゃん。ありが、」


言い終える前に、夏枝ちゃんは教室へ入って行ってしまった。

……今の聞こえてなかったのかな?

でもこんな近距離で?まさか無視?

そういえば夏枝ちゃん最近よそよそしいかも。

私何かしたっけ……?

頭の中で様々な疑問が連鎖する。

考えすぎて訳が分からなくなってきた頃、柳田さんの一声で練習は再開された。

全然休んだ気がしなかったせいか休憩前より憂鬱に感じるなんて、溜め息が尽きないよ。
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