seasons.(シーズンズ)【完】
*春輝side 


町内にある百円ショップに着いたはいいものの、日頃訪れない場所なだけあって目的の品を見つけるのにいちいち一苦労だった。

思ったんだが、メモから推測するに買い込んだ商品を俺一人で運べるかが危うい。

まさか往復を強いられたりしてな。

トホホ……と嘆いていると、天は俺を見捨てていなかったらしい。

前方に見慣れた男を発見。


「進藤!」


いつものスマイルはまさに天使の微笑みだ。


「長谷川も買出しですか?」

「まあな。進藤は何買いに来たんだ?」


すると進藤は笑顔のまま手に持つカゴの中身を漁って色々と見せつけてきた。

ハゲカツラ・ちょびヒゲ・鼻眼鏡などなど……。

こんなの使って一体どんなパフォーマンスをするつもりなのだろうか、是非ともシゲにインタビューしたいところだ。

進藤がこれを着用して踊ってる姿を想像すると悲しくなる。


「ダンスは順調なのか?」

「大丈夫だと思いますよ。なんせ金沢がリーダーですから」

「他人事のように言ってるけどお前は大丈夫なのかよ」

「僕は裏方ですから」


どうりで呑気なわけか。

けどそれなら悲劇を目の当たりにしなくて済むな。
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